寂寥の冬の中にいた。この一年間ずっと。
期間を選ばずに降り注ぐ。心を痺れさせるように。
だから冬眠していた。
寂寥の嵐がやってきたので、息を潜めた。
洞の中で。鼓動を停めて。
生とも死ともつかない眠りの中でたくさんの夢を見た。
ときどき起きてうどんを食べた。
うどんおいしい。
どんなに時間がかかっても、季節は変わる。
明かりが大地に落ちて、春がやってきた。
春が来たからといってなんてことはない。僕は一人だ。
ただ温かい。
ただ温かい。それだけで生きて行ける。
うどんも温かい。
窓から空を見上げると、久々の明かりが目を焦がす。
自然に涙がこぼれた。
鼓動が体全体を打つ。痺れがほどけるように感情が戻ってきた。
そうか……僕はこの日のために眠っていた。この日のために生きていた。
一年間更新しないのもすべてはこのためだった。そうに決まってらい。
僕は両手を猫の耳のように頭に当て、「にゃんこ」と叫ぶと急いで外に飛び出した!
檸檬は今も愛読書です。
梶井基次郎もきっとうどんおいしいと思っていたはず。